就職・転職の面接マナーについて
会社が求めている人物像をいかに上手に演じきるか。現代、就職活動の根底にはこの概念が強くある。そのため、就活や転職においての面接マナーは全てマニュアル化され、ここからはみ出すことは許されない。何故これほどまでに「マナー」が形式化してしまったのだろうか。
就職面接にみる歪んだマナー
本来、「マナー」というものには決まりが無く、非常に曖昧な状態で存在しているものである。お互いの考え方や行動に好感を持つか、不快と感じるか。この感情の中から徐々に相手との無言のルールができ、それがいつしか双方のマナーとなる。つまり、マナーは十人十色、場所や相手が替わればマナーも替わる。 しかし就職面接でのマナーは歪んだ形に枠組みされており、私達は「正しいマナー」というものを求めて右往左往する。お辞儀のタイミング。目を見て話す。相槌の打ち方。相手との対話の中で構築するべきであるこのようなコミュニケーション方法が、就職活動のマナー本にはこと細かく説明されている。さらには、「好かれる個性の作り方」なるものまでもが、マニュアル化されており、これら通りに行動、発言をすることで、本当の自分ではない、小手先ばかり器用な自分を「演出」することとなる。
面接マナーから解放される転職活動
今や転職は非常に身近なものである。その気が無くとも転職サイトに自分の名前を登録しておくということも少なくない。特に数年前の就職氷河期の頃は会社を選択する余地は無かった。自分にこの仕事が合っているかということよりも自分が会社に合わせなければならない、という意識のもとマナー本にかじり付き、会社の面接に臨んでいた。そのような状況の中でアニュアルに外れたことをする余裕がある人はそういなかったであろう。だがそうすると当然、会社に入ってからこんなはずでは、という結果になり、転職を考えることとなる。 転職希望者は、社会人としての理念にある程度プライドを持ち始めており、そのため初めての就職活動の時よりは相手の求めるものと自分の主張、理念の折り合いをつけることが上手にできるはずである。面接で、本当の自分の個性を表現し、相手にも社会人としての自然なマナーを持った接し方ができるだろう。その中で見つけた会社は少なくとも以前よりは居心地がいいはずである。転職者が増えたのはこんな所にも理由があるのではないだろうか。
就活においての本当の面接マナーとは
マニュアル化されたマナーを生み出すこととなった原因の一つに面接する側、つまり企業の面接方法に問題があると考えられる。就活において、面接される側の人間は圧倒的に弱者である。内定をもらいたいという一心で頭を何度も下げるだろう。しかしそれをいいことに面接官は人としての最低限の礼儀すら無視した態度、発言で彼らに接することが少なくない。 例えば、就活を始めた学生がある銀行にエントリーしたとしよう。面接まではすすんだが、かなりの圧迫面接なうえ、内定は出なかった。彼にとってその銀行はどんな印象になるだろうか。いい銀行だったなと思う人はまずいないだろう。そして、そのような圧迫面接の噂は瞬く間に広がり、就活をする人々に不安を与える。結果として、解決策を求める彼らはマナー本なるものに答えを見出そうとしてしまうのである。 内定をもらえなかったその瞬間から、彼は銀行にとってお客様となる可能性が出てくるわけである。そうなった途端、銀行側は手のひらを返したように接してくるだろう。本来の意味でのマナーを就職活動の場から無くしてしまったのは、こんな企業ではないだろうか。
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